本診断は、厚生労働省が推奨する「職業性ストレス簡易調査票(JBS)」を基盤に、公認心理師が監修して開発しています。仕事上のストレス要因、心身の反応、周囲からのサポートという3つの視点から、あなたのストレス状態を多角的に評価します。
診断はスマートフォンやPCから24時間いつでも実施可能です。短時間で回答でき、結果はその場ですぐに表示されます。忙しい日々の中でも、ご自身のタイミングで手軽に心の状態を確認できます。
結果は一度きりの確認に留まりません。定期的に診断を受けることで、心身の変化をデータとして追跡・保存できます。ご自身のストレス傾向を深く理解し、長期的なセルフケアや予防策につなげることができます。
当診断は、国のストレスチェック制度の質問項目や判定基準に準拠して設計されています。そのため、貴社で制度導入のツールとしてご活用いただけます。制度の運用方法や集団分析など、導入を検討中の企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
職場におけるストレスチェック制度は、労働安全衛生法に基づき2015年から義務化され、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐ「一次予防」を主目的としています(厚生労働省, 2021)
厚生労働省「ストレスチェック制度実施マニュアル(PDF)
しかし現状では、多くの職場で「高ストレス者を判別して産業医面接につなぐ」ことが中心となり、その後のセルフケアや組織的改善につながりにくいという課題が指摘されています。
現状の課題1:判別のみで終わる
多くの職場で「高ストレス者を判別して産業医面接につなぐ」ことが中心となり、その後のセルフケアや組織的改善につながりにくいという課題が指摘されています。
現状の課題2:区分が大まか
質問紙の区分が大まかで、受検者が自学自習に活かしにくいという問題があります。
現状の課題3:支援の質の差
公認心理師や精神保健福祉士など専門職の関与度によって、提供される支援の質に差が出ることが課題です。
こうした背景から、民間企業が独自にストレスチェックを開発・運用する意義は大きいと考えられます。
意義1:精緻な4区分での評価
従来の「高ストレス/低ストレス」の二分法に代えて、4区分などの精緻なスコアリングを導入することで、個々のリスク傾向をより正確に把握できます。
意義2:具体的な対策を提示
診断結果に基づく具体的な対策やセルフケア指針を明示することで、受検者自身が自己学習や改善を進めやすくなります。
意義3:専門職が関与する体制
心理療法や精神保健の専門家が継続的に関与することで、支援の質を均一に高められます。さらに、業種や職場文化に合わせた柔軟なロジックを設計できる点も、民間企業が独自に取り組む大きな利点です。
このような視点からストレスチェック制度に準拠した尺度を作成することとしました。
本診断は、以下の3つの尺度から構成される57項目を使用します。
職場のストレス要因(17項目)
心身のストレス反応(29項目)
周囲のサポート(9項目)
*参考項目,生活の満足度(2項目)
回答方式
質問項目ごとに、回答の選択肢と得点配分が異なります。
詳しくは、厚生労働省のマニュアルP34,35に準拠して作成する。
*一部例
「仕事の量」「職場の雰囲気」などに関する質問
* そうだ(4点), まあそうだ(3点), あまりそうでない(2点), ちがう(1点)
「活気がある」「生き生きしている」などに関する質問
* ほとんどいつもあった(4点), しばしばあった(3点), ときどきあった(2点), ほとんどなかった(1点)
「イライラする」「疲れている」などに関する質問
* ほとんどいつもあった(4点), しばしばあった(3点), ときどきあった(2点), ほとんどなかった(1点)
本診断は、合計点数に基づき、ストレス状態を4つの段階に分類し、それぞれに応じた改善策を提示します。
低ストレス状態
判定: 心身のストレス反応の合計点数が29〜49点
解説: あなたの心の健康状態は安定しており、日常生活に大きな支障は見られません。
アドバイス: 今の良好な状態を保つため、現在の生活習慣を維持し、引き続きセルフケアを心がけましょう。
中ストレス状態
判定: 心身のストレス反応の合計点数が50〜62点
解説: 疲労や不安を感じやすい状態です。早めのセルフケアで改善が期待できます。
アドバイス: 十分な休養や適度な運動を取り入れたり、趣味の時間を作るなど、生活リズムを整える工夫をしてみましょう。
やや高ストレス状態
判定: 心身のストレス反応の合計点数が63〜76点、かつ高ストレス基準に該当しない場合
解説: ストレス反応が中程度に達しており、注意が必要です。心身に負担がかかっている可能性があります。
アドバイス: 信頼できる人に悩みを相談したり、可能であれば休暇や業務量の調整を検討するなど、具体的な対策を講じましょう。
高ストレス状態
判定: 以下のいずれかに該当する場合、厚生労働省が定める「高ストレス者」に準じます。
ケース1,心身のストレス反応の合計点数が77点以上である場合。
ケース2,「仕事のストレス要因」(17 項目)及び「周囲のサポート」(9 項目)の合計点数(ストレスが高い方を4点、低い方を1点とする)を算出し、合計点数が76点以上であって、かつ、「心身のストレス反応」の合計点数が 63 点以上である者を高ストレスとする。
解説: 専門的な支援を必要とする状態です。一人で抱え込まず、専門家に相談することを強く推奨します。
アドバイス: 心理職や医師などの専門家への相談を検討してください。また、事業所のストレスチェック制度で該当する項目があれば、面接指導の申し込みを推奨します。
本診断はセルフチェック用であり、医師による診断や治療の代替ではありません。
判定は参考情報であり、不安がある場合は必ず専門家に相談する必要があります。
職業性ストレス簡易調査票(BJSQ)内部処理用配点シート(57項目版)
逆転処理が必要な項目に * を付記
【A. 仕事のストレス要因(17項目)】
1. 非常にたくさんの仕事をしなければならない
2. 時間内に仕事が処理しきれない
3. 一生懸命働かなければならない
4. かなり注意を集中する必要がある
5. 高度の知識や技術が必要なむずかしい仕事だ
6. 勤務時間中はいつも仕事のことを考えていなければならない
7. からだを大変よく使う仕事だ
8. *自分のペースで仕事ができる
9. *自分で仕事の順番・やり方を決めることができる
10. *職場の仕事の方針に自分の意見を反映できる
11. 自分の技能や知識を仕事で使うことが少ない
12. 私の部署内で意見のくい違いがある
13. 私の部署と他の部署とはうまが合わない
14. *私の職場の雰囲気は友好的である
15. 私の職場の作業環境(騒音、照明、温度、換気など)はよくない
16. *仕事の内容は自分にあっている
17. *働きがいのある仕事だ
最大値 17項目×4=68
最小値 17項目×1=17
【B. 心身のストレス反応(29項目)】
活気(逆転処理あり → *)
1. *活気がわいてくる
2. *元気がいっぱいだ
3. *生き生きする
ストレス反応(そのまま得点化)
4. 怒りを感じる
5. 内心腹立たしい
6. イライラしている
7. ひどく疲れた
8. へとへとだ
9. だるい
10. 気がはりつめている
11. 不安だ
12. 落着かない
13. ゆううつだ
14. 何をするのも面倒だ
15. 物事に集中できない
16. 気分が晴れない
17. 仕事が手につかない
18. 悲しいと感じる
19. めまいがする
20. 体のふしぶしが痛む
21. 頭が重かったり頭痛がする
22. 首筋や肩がこる
23. 腰が痛い
24. 目が疲れる
25. 動悸や息切れがする
26. 胃腸の具合が悪い
27. 食欲がない
28. 便秘や下痢をする
29. よく眠れない
最大値 29項目×4=116
最小値 29項目×1=29
【C. 周囲のサポート(9項目)】
逆転処理あり → *(サポートが少ないほど得点が高い)
1. *上司は気軽に話ができる
2. *職場の同僚は気軽に話ができる
3. *配偶者、家族、友人等は気軽に話ができる
4. *上司は困った時に頼りになる
5. *職場の同僚は困った時に頼りになる
6. *配偶者、家族、友人等は困った時に頼りになる
7. *上司は個人的な問題を相談したらきいてくれる
8. *職場の同僚は個人的な問題を相談したらきいてくれる
9. *配偶者、家族、友人等は個人的な問題を相談したらきいてくれる
最大値 9項目×4=36
最小値 9項目×1=9
【D. 満足度(2項目)】
参考指標、逆転処理なし
1. 仕事に満足だ
2. 家庭生活に満足だ
下位因子の5つの区分については、
厚生労働省のマニュアルP40,41(PDF)
を参考に作成しています。
1. ストレスの原因因子
職場におけるストレス要因がどの程度あるかを評価します。点数が高いほど、ストレス要因が多いことを示します。
心理的な仕事の負担(量)
質問項目: 1.非常にたくさんの仕事をしなければならない, 2.時間内に仕事が処理しきれない, 3.一生懸命働かなければならない
合計点の範囲: 3点〜12点
評価基準:
低い 3-6点
やや低い 7点
普通 8-9点
やや高い 10-11点
高い 12点
心理的な仕事の負担(質)
質問項目: 4.かなり注意を集中する必要がある, 5.高度の知識や技術が必要なむずかしい仕事だ, 6.勤務時間中はいつも仕事のことを考えていなければならない
合計点の範囲: 3点〜12点
評価基準:
低い 3-6点
やや低い 7点
普通 8-9点
やや高い 10-11点
高い 12点
自覚的な身体的負担度
質問項目: 7.からだを大変よく使う仕事だ
合計点の範囲: 1点〜4点
評価基準:
やや低い 1点
普通 2点
やや高い 3点
高い 4点
職場の対人関係でのストレス
質問項目: 12.意見のくい違いがある, 13.部署間でうまが合わない, 14.職場の雰囲気は友好的である(逆転処理あり)
合計点の範囲: 3点〜12点
評価基準:
低い 3-7点
やや低い 8点
普通 9点
やや高い 10-11点
高い 12点
職場環境によるストレス
質問項目: 15.職場の作業環境(騒音、照明、温度、換気など)はよくない
合計点の範囲: 1点〜4点
評価基準:
やや低い1点
普通 2点
やや高い 3点
高い 4点
仕事のコントロール度(逆転処理あり)
質問項目: 8.自分のペースで仕事ができる, 9.順番・やり方を決められる, 10.方針に自分の意見を反映できる
合計点の範囲: 3点〜12点
評価基準:
低い 3-6点
やや低い 7-8点
普通 9-10点
やや高い 11点
高い 12点
技能の活用度
質問項目: 11.自分の技能や知識を仕事で使うことが少ない
合計点の範囲: 1点〜4点
評価基準:
低い 1点
やや低い 2点
普通 3点
高い 4点
仕事の適性度(逆転処理あり)
質問項目: 16.仕事の内容は自分にあっている
合計点の範囲: 1点〜4点
評価基準:
低い 1点
やや低い 2点
普通 3点
高い 4点
働きがい(逆転処理あり)
質問項目: 17.働きがいのある仕事だ
合計点の範囲: 1点〜4点
評価基準:
低い 1点
やや低い 2点
普通 3点
高い 4点
2. 心身のストレス反応
ストレスが心と体に与える影響を評価します。点数が高いほど、心身のストレス反応が強く出ていることを示します。
活気(逆転処理あり)
質問項目: 1.活気がわいてくる, 2.元気がいっぱいだ, 3.生き生きする
合計点の範囲: 3点〜12点
評価基準:
低い 3-6点
やや低い 7-8点
普通 9点
やや高い 10-11点
高い 12点
イライラ感
質問項目: 4.怒りを感じる, 5.内心腹立たしい, 6.イライラしている
合計点の範囲: 3点〜12点
評価基準:
低い 3-6点
やや低い 7-8点
普通 9-10点
やや高い 11点
高い 12点
疲労感
質問項目: 7.ひどく疲れた, 8.へとへとだ, 9.だるい
合計点の範囲: 3点〜12点
評価基準:
低い 3-7点
やや低い 8点
普通 9-10点
やや高い 11点
高い 12点
不安感
質問項目: 10.気がはりつめている, 11.不安だ, 12.落着かない
合計点の範囲: 3点〜12点
評価基準:
低い 3-7点
やや低い 8点
普通 9-10点
やや高い 11点
高い 12点
抑うつ感
質問項目: 13.ゆううつだ, 14.面倒だ, 15.集中できない, 16.気分が晴れない, 17.手につかない, 18.悲しいと感じる
合計点の範囲: 6点〜24点
評価基準:
低い 6-12点
やや低い 13-16点
普通 17-20点
やや高い 21-23点
高い 24点
身体愁訴
質問項目: 19.めまい, 20.体の痛み, 21.頭痛, 22.肩こり, 23.腰痛, 24.目の疲れ, 25.動悸や息切れ, 26.胃腸の不調, 27.食欲不振, 28.便秘や下痢, 29.不眠
合計点の範囲: 11点〜44点
評価基準:
低い 11-20点
やや低い 21-25点
普通 26-30点
やや高い 31-39点
高い 40点以上
3. ストレス反応への影響因子(サポート・満足度)
ストレスを和らげる周囲からのサポートや、仕事・生活への満足度を評価します。
上司からのサポート(逆転処理あり)
質問項目: 1.気軽に話ができる, 4.困った時に頼りになる, 7.個人的な問題を相談できる
合計点の範囲: 3点〜12点
評価基準:
低い 3-6点
やや低い 7-8点
普通 9点
やや高い 10-11点
高い 12点
同僚からのサポート(逆転処理あり)
質問項目: 2.気軽に話ができる, 5.困った時に頼りになる, 8.個人的な問題を相談できる
合計点の範囲: 3点〜12点
評価基準:
低い 3-6点
やや低い 7-8点
普通 9点
やや高い 10-11点
高い 12点
家族・友人からのサポート(逆転処理あり)
質問項目: 3.気軽に話ができる, 6.困った時に頼りになる, 9.個人的な問題を相談できる
合計点の範囲: 3点〜12点
評価基準:
低い 3-6点
やや低い 7-8点
普通 9点
やや高い 10-11点
高い 12点
仕事や生活の満足度(逆転処理あり)
質問項目: 1.仕事に満足だ, 2.家庭生活に満足だ
合計点の範囲: 2点〜8点
評価基準:
低い 2-3点
やや低い 4点
普通 5点
やや高い 6-7点
高い 8点
当診断は厚生労働省の基準に準拠をして作成したもので、因子構造及び信頼性・妥当性をチェックしたものではありません。あくまで専門家としての検討を加えたものです。統計的な根拠が希薄で、研究に耐えられるレベルの尺度ではないことをご了承ください。